Q. 世の中のお金は、誰が生み出したんだ?ーー民間の場合
A. 世の中に出回っているお金は、全て誰かの「借金」である
「お金が増える」とは、誰かが借金をすること。逆に「借金を返す」とお金は消える。これを信用創造という。
【具体例】あなたが銀行から100万円を借りると…
つまり「お金=誰かの借金の記録」。借金ゼロの世界では、お金もゼロになる。
「銀行は預金者のお金を貸している」は正確ではない
多くの人は「銀行は預金者から預かったお金を、別の人に貸している」と思っている。しかし実際は違う。預金が融資に使われることはない。
例えば、Cさんがマンションを購入するために101銀行から100万円の融資を受けたとする。このとき、どこかのAさん・Bさんの残高が減るわけではない。銀行はただ、Cさんの口座に「+100万円」と打ち込む。その瞬間、新しいお金が生まれる。
民間銀行(101銀行)のバランスシート
Cさんに100万円融資すると…
↓貸出金(左)と同時にCさんの預金(右)が生まれた。Aさん・Bさんの預金は減っていない——バランスシート全体が膨らんでいる。
貸すことで貸出金と預金が同時に生まれ、返済されると貸出金と預金が同時に消える。世の中に流通する預金の大半は、この繰り返しで生み出されている。
では、銀行は無限にお金を生み出せるのか?
理論上、信用創造に上限はない。しかし現実にはBIS規制(国際決済銀行の自己資本比率規制)によって制限されている。
BIS規制のルール
貸出残高に対して、銀行自身のお金(自己資本)を8%以上保持しなければならない。
例:自己資本が800億円の銀行の場合
800億円 ÷ 8% = 1兆円まで貸し出せる
ここでいう「自己資本」は株主から集めたお金+過去の利益の蓄積。国民から預かった預金は含まれない。
つまり「借りたい人がいて、その人が返せそうな人(信用できそうな人)なら、自己資本の範囲で際限なく貸せる」のが銀行の実態だ。
参考:そのお金を別の銀行に振り込んだらどうなる?
Cさんはマンションを買うために借りたので、融資を受けたその日のうちに、マンション販売業者が持つ202銀行の口座へ100万円を振り込む。すると101銀行から202銀行へ、日銀当座預金100万円が移動する。
振込が完了すると…
↓101銀行のバランスシート(振込後)
Cさんの預金(右)と日銀当座預金(左)がともに消えて、BSは釣り合ったまま。
ただし日銀当座預金は100万円減った。実は銀行には「預金残高の一定割合を日銀当座預金として常に保有しなければならない」という法律上の義務がある。銀行は1日に何百件もの振込をこなしているため、Cさんのような取引が積み重なって残高が不足することがあり、その場合は他の銀行から借りて補填する。この銀行同士の短期貸し借りの場がコール市場だ。